ニュース 8月 20, 2025

マテリアルズ・インフォマティクスの活用ー㈱日立ハイテク ウエブサイト掲載

株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)は、NOF メタルコーティングス株式会社(以下、NOF メタルコーティングス)にマテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics、以下、MI)を用いた「材料開発ソリューション」を提供し、両社で協業しながら研究・開発業務の効率化・高度化について検討してきました。その結果、実験回数・時間などのコスト50%以上削減や、自社のノウハウだけでは困難だった新たなアイデアの発掘など、製品の研究・開発業務の効率化と高度化を実現しました。

 

背景・概要 

NOF メタルコーティングスは、金属の耐久性や機能性の向上に用いる高機能薄膜コーティング技術を有しており、主に金属の錆を防ぐ防錆(ぼうせい)材などを開発・製造し、日本だけでなく海外の自動車・航空をはじめとした幅広い業界に提供しています。近年は、あらゆる製品の安全性担保や環境への配慮など、新しい価値や製品の開発ニーズが高まり続けています。また、これまでベテラン技術者の経験を頼りに研究・開発業務を進めてきましたが、技術者が高齢化し若手技術者が増加する中、従来の手法を変革し、データドリブンな開発を行い、スピーディーに研究・開発を実施したいという思いがありました。

こうした中、日立ハイテクは NOF メタルコーティングスに「材料開発ソリューション」を提供し、繰り返し対話を重ねることで現状や真の課題を正確に把握し、それらの解決につながる MI の活用やデータ分析のサポートを継続的に行いました。これにより、NOF メタルコーティングスの特定のテーマの研究・開発業務において、MI 活用前と比較して、50%以上の実験回数・期間の削減を実現しました。また、従来の手法では想像できなかった、新たなアイデアを発見することができ、より高度で効率的な製品の開発に貢献していました。

 

具体的なソリューション内容

日立ハイテクが提供する「材料開発ソリューション」のコア技術である MI は、過去に蓄積した実験データから AI 技術を活用して物性予測や、製造条件・素材配合比の最適な条件を導き出すことができます。MI や生成 AI を活用したコンサルティングサポートは、日立グループのドメインナレッジと AI 技術を用いてデータを価値に変換し、お客さまや社会の課題解決に取り組む Lumada*1 3.0 を体現するものです。

*1 Lumada : 顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・システム・テクノロジーの総称。

 

  (1)材料データ分析環境の提供

NOF メタルコーティングスが長年培ってきた防錆材料をはじめとする開発テーマに対して、日立ハイテクが提供する MI技術を用い、過去の検討データから、目標特性への到達を期待できる実験候補の解析を試みました。その結果、特定の研究テーマにおいて、実験回数や期間を 50%以上削減しました。さらに、従来手法では難しかった未知の発見につなげたことで、データドリブンな開発の有効性を実証するとともに、研究・開発の高度化に貢献しました。

 

(2)カスタマーサクセスによるコンサルティングサポート 

日立ハイテクでは、自社のデータサイエンティストをはじめとした各社担当のカスタマーサクセスが、直接お客さまのサポートを行います。これにより、NOF メタルコーティングスでは MI やデータ分析の専門人財が社内に在籍していない中でも、スムーズな MI 活用推進を実現しました。また、日立ハイテクの担当者が綿密なヒアリングを実施することにより、研究・開発業務における真の課題を見つけ出し、その解決に向けた的確なアプローチを提案することで、効率化・高度化を実現することができました。

 

今後の展望

日立ハイテクでは、2021 年から素材・化学メーカーを中心とした国内・海外のさまざまなお客さまに「材料開発ソリューション」を提供してきました。NOF メタルコーティングスは、海外にもグループ会社を有しており、今後は海外拠点においてもMI 技術を活用し、グローバルでさらなる価値創出と活用拡大をめざしています。引き続き両社は連携を継続し、日立ハイテクがこれまで多くのお客さまにソリューションを提供してきたノウハウを生かして、NOF メタルコーティングスの MI 技術活用の海外展開をサポートしていきます。さらに、日立ハイテクが提供する解析装置から出力されたデータと MI のシームレスな連携や、AI 技術・日立グループのアセットなどの活用により、さらなる研究・開発業務の自動化など効率化・高度化に向けた提案・協業を推進していきます。

 

日立ハイテクは今後も、グローバルフロント力、ドメインナレッジ、タッチポイント、技術力などの強みを生かし、あらゆる社会課題を起点として解決につながるソリューション・ビジネスモデルを創出することで、産業・社会インフラ分野の市場成長に貢献していきます。

 

関連リンク

マテリアルズ・インフォマティクス導入事例 (NOF メタルコーティングス)

https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/ict-solution/randd/cacestudy/002.html

日立ハイテクの材料開発ソリューション

https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/ict-solution/randd/mi/solution.html

 

日立ハイテクについて

日立ハイテクは、持続可能な地球環境、健康で安心・安全な暮らし、科学と産業の持続的発展に貢献するため、「知る力で、世界を、未来を変えていく」という企業ビジョンを掲げ、社会やお客さまに最先端の技術や製品・サービスを提供しています。ヘルスケア分野における医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体分野における半導体製造・検査装置のほか、環境分野や材料の研究などで用いられる分析装置、解析装置を製造・販売しています。また、電池、通信インフラ、鉄道検測、デジタルなどの産業・社会インフラ分野で高付加価値ソリューションを提供するなど、幅広い事業領域でグローバルに事業を展開しています。私たちは、社会やお客さまの真の課題を正しく知り、解決策を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。(2025 年 3 月期日立ハイテクグループ連結売上収益は 7,565 億円)

詳しくは、日立ハイテクの Web サイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/)をご覧ください。

 

お問い合わせ先

株式会社日立ハイテク

産業・社会インフラ事業統括本部

インフォマティクス推進部

インフォマティクス推進事務局

Informatics.aj@hitachi-hightech.com